マスターが選ぶこの一曲 【Part2】
SOULTRANE'S マスターが選ぶこの一曲
タイトル通り、不肖ワタクシ、マスター池田が選ぶ〝これぞ名演〟の紹介です。
珍演ではありません。
ドラムだけでなく、全ての楽器を対象とします。
ドラマー他、ジャズを愛する皆さんの参考にして頂ければ幸いです。
■ マスターが選ぶこの一曲 vol.11
マイルス・デイビス「マイルストーンズ」より〝ビリー・ボーイ〟 1958年作
・レッド・ガーランド(p)
・ポール・チェンバーズ(b)
・フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
とんでも無く素晴らしくても、真っ当な評価を受けず、
何故か評論家センセイから何十年も歯牙にもかけられない演奏は結構多い。
そういう曲ほど、ミュージシャンorファンによって、
〝伝説の裏番〟のごとく後世に語り継がれたりする。
その典型とも言える名演がこの〝ビリー・ボーイ〟。
マイルス・デイビスをして〝オール・アメリカン・リズム・セクション〟
(大リーグオールスターの事ね)と言わしめ、
50年代マイルスサウンドの屋台骨を支えた最強トリオ。
特にこの曲のフィリー・ジョー・ジョーンズのプレイは、
間違いなくモダン・ジャズ・ドラミングの集大成と言える。
筆者のジェネレーションでは、プロはもちろん、
ドラムを志す人間は100人中100人コピーしてたもんだ。
アタマのガーランドとフィリーのブラシから始まるイントロ、
この3人の物凄いドライブ感は何だ?
ナンボなんでも気合い入れすぎだろ?
これで最後まで持つわけねーだろ!
なんて心配はどこ吹く風で、
100m世界記録保持者ボルトの様なぶっちぎりの凄まじさ!
〝少林サッカー〟の如く火を噴く勢いのガーランドのソロに続く、
チェンバーズの超絶アルコ・ソロ、息する間も無くぶちかますフィリーの、
〝これがジャズだ!〟と言わんばかりの最強4バース・ソロ、
そして大団円を迎えるが如くコテコテの涙々のエンディング、
すんばらしい!
これぞ〝ザッツ・エンターテイメント〟。
マイルスがこの3人に敬意を表して、
アルバム中一曲だけトリオで録音しただけの事はある。
その気持ちに十二分に応えて余り有る快演。
〝人生意気に感ず〟とはこういうもんだ。