ソング・フォー・マイ・ファーザー“隆 慶一郎”〜ソウルトレーン’s Book&Movie レビュー

えー、うちのお店にいらしてるかたは、何気にご存知ですが、時代小説作家の“隆 慶一郎”は私の実の親父なんですね。

 

本名が池田一朗で、私が次男で名前もマンマ二郎ですから、オヤジも相当こだわらないというか、大ざっぱな正確ですかね?(笑)

 

私が生まれたのは午前2時頃ですが、オヤジは麻雀してたらしいですから(笑)。

 

オヤジが亡くなってもう24年になりますが、新年を迎えるにあたり、新しい企画として、オヤジに関するエピソードや、何の因果か私も本と映画は音楽とドッコイくらい好きなので、「こりゃ面白え!」と思った作品の事などを、色々なカタチでご紹介させて頂こうと思います。

 

素人の稚拙な文なので、お読みづらい箇所も多々あるかと思いますが、御容赦下さいませ。

 

また、親父のファンの皆様は、お気軽にお店にいらしてください!年に1回10月の墓参りツアー(自由参加で、スゲー飲み会です!)など、昔のお弟子さんがたもいらしてますので、楽しくお過ごし頂けると思います。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

“ソング・フォー・マイ・ファーザー” VOL.1

 

Book Review ~ 「吉原御免状」 隆慶一郎   1984作 新潮文庫刊

 

 

えー、親父の処女作です。

 

この本が出版される前に、私にオヤジから珍しく電話がかかってきて、「今度ワシ本出すんで、ちょっと読んでくれんか?」と言ってきたのをよく覚えています。

 

思わず「官能小説か?」と言ったら、思い切り電話切られましたけど(笑)。

 

今も同じ感想ですが、一読して先ず思ったのは、「これってオヤジの私小説だな。」って事ですね。

 

オヤジは幼い頃家庭が複雑で、相当波乱万丈な少年期を過ごしたらしいんです。

 

主人公の松永誠一郎が自分捜しの旅に江戸に上京してくる、その設定そのものが、オヤジの青春時代とモロ被ってる気がします。

 

内輪の話で恐縮ですが、うちの長兄が渡米して、姉が子育てで忙しい時期、私がよくオヤジの酒席の相手をしていたんです。

 

まあ、私が兄弟の中で異色の不良だったせいか、よくオヤジがホロ酔いで、昔の話とか生き方の話とか、ケンカの話 etc・・・などをよく聞かされました。

 

その中で感じたのは、基本的にオヤジは“上ナシ”、つまりオヤジの小説によく登場する“道々の輩(ともがら)”と同じ自由人だったって事ですね。

 

職業的には“語り部”に入ると思われます。

 

(オヤジは小説を書く前は、長年脚本家を生業としていました。)

 

面白いエピソードがあって、オヤジが終の地となった向島に引越した時ですが、住民登録するんで役所に行ったら、自分の住所とか一切覚えていないんですね、メモもしてない。

 

「そこに引っ越したから頼むわ!」みたいな(笑)。

 

役所の人は不信に思って、マンションまでついてくるわ、もう少しで大ゲンカになるところだったんです。

 

それを見てて、“あ、この人はオカミとか法律とかまるで信用してない、と言うかどうでもいいんやな?”とマジで思いましたね。

 

まあ私もそうですが(笑)。

 

主人公の誠一郎が、物語の最初と最後に、吉原の“みせすががき”を聞きながら、「俺は今日まで何をして来たのか」というセリフなどは、オヤジが若い頃傾倒した中原中也の“帰郷”のイメージそのものですし、

 

色々な意味で、この本は、親父がそれ迄生きた人生の思いのたけを全て凝縮した様な、とてもコアで純粋な作品だと思います。